Walking Man

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今日のひとこと
没個性化したXZ3がやっぱり大絶賛を受けていて複雑な気分です。XPERIAはもうSONYである必要はないということなの?

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ソニーの秋といえば例年AV関係、特にオーディオ関連の製品が活発にリリースされていますが、今年もSignature Seriesを含めて様々な機種が発表されました。

今日は9月の頭に香港でお披露目されていたDMP-Z1とIER-M7/M9/Z1Rについて主にお話したいと思います。

まずは何よりも目立って仕方がないDMP-Z1について。
販売価格が日本円にして約100万と極めて高価なこと、そして大きい筐体ながら ”キャリアブル” であることから話題を集めています。
この製品の本質は・・・と、いつもなら考えるんですけどこの製品に関しては難しいですね。

バッテリーを内蔵することのメリットや目的は電源に電圧の安定性に優れたLi-ionバッテリーを使用し、平滑化した質の良い電源を使うことができるということにありますし、キャリアブルであるということはいわば副産物的な効果だと言えるでしょう。実際バッテリー駆動時間は意外と短いですし。

しかし、その上質な電源ソースを何に使っているかといえば、ウォークマンのような独自のデジタルアンプではなく、主にアナログ増幅回路系です。
Z1開発のきっかけはウォークマンだったかもしれませんし、開発部隊にもZXシリーズを始めとする高性能ウォークマンの設計者の方もおられます。しかし、自社製フルデジタルアンプ ―S-Master に絶対的な自身を持っていたはずの彼らがあえてS-Masterを手放したことを疑問に思います。

S-Masterは当初から基本的な処理が変わらず、基本的にDSD再生があまり得意なようには感じられません。
昨今のハイレゾ市場を引っ張っていくSONYとしては、DSD対応を含めて汎用のDAC・アンプを採用する方が簡単だったのかもしれませんが、C-PLMを進化させてきたようなチャレンジングなSONYのDNAは薄く感じてしまいます。
「コストを考えず “良いもの” を目指す」ことの必要性と開発者の熱意は感じますが、S-Masterはギブアップしたのかな、と勘ぐってしまいます。

S-Masterの開発には数億円の開発費がかかっていますが、ウォークマンを始めとしてSONY製品にその技術を広く展開することなどで開発費の回収を行っています。SONYは大きな規模で独自の技術の開発を行っていたのですが、Z1のようなハイエンドオーディオではもうS-Masterは戦えないということでしょうか。
WM1を足がかりに、ESだけではなくかつてのRシリーズなどの高級コンポネントオーディオでも独自の半導体技術を復権させることはできないか、と考えていましたし、CXD3778GFにはその実現を期待しました。ですが、まだまだ難しそうですね。

繰り返しになりますが、キャリアブルであることは “据え置き機” として高音質を追求した副産物だと考えますし、DMP-Z1自体は実におもしろい製品だと素直に思います。しかし、これはウォークマンではありませんし、S-MasterをはじめとしたSONY独自の魅力あるデジタル技術の今後の展望を伺えるものではなかっただけです。

次にイヤホン群のIER-Z1R/M7/M9について。

MDRの方のZ1Rがすでに発売されていますが、イヤホンでは最近までEX1000とZ5がハイエンドとしてラインナップされ続けていました。
いつこれらを越えるようなフラグシップが登場するかな? いつ純BAのフラグシップが登場するかな? と期待していたわけですが、ついに、ついにですね。

IER-Z1RはMDR-Z1Rと同じく “Z1R” を名に持つ新シグネチャーシリーズの一角であり、2DD+1BA、しかも1DDがツイーターという珍しい構成を持ったソニーの新フラグシップインナーイヤーです。

小さな筐体ながらも振動板に2種の素材を組み合わせて音質の最適化を狙ったりと、MDR-Z1Rと同様の技術が採用され、ダクト機構やBAドライバー・ネットワークなどにも今までのノウハウがぎっちりと詰め込まれています。まさに集大成とも呼べるような仕上がりになっているのではないでしょうか…。

SONYのオーディオ製品における “R” は前述のRシリーズにしかり、MDR-R10など伝説的な名機に多く見られるものです。一方で歴史ある “MDR-” が消えつつあることも気になるのですが、独自の音響性能がふんだんに盛り込まれたIER-Z1Rに期待が膨らみますね。

そして、モニターシリーズの新モデルとして登場したM7/M9。
ソニーのインナーイヤーモニターとしては長くEXシリーズが一応その役割を担っていましたが、高性能ステージモニターとして純BAマルチのM7/M9がその役を引き継ぎました。BA型は構造的に密閉性が高く設計できるので遮音性が高く、この点でも確かにD型よりモニターに最適です。

ソニーはXBA-4以来各帯域のBAユニットを開発してきましたが、ネットワークのノウハウなども含めてやっと、メインストリームであるモニター用途に使えるまでこれたということですかね。私は今でもXBA-4を愛用していますが、XBAシリーズの音作りは必ずしも受け入れられているものではなかったので。

今回のMシリーズはあえてBA型でモニター、それもかなり高価格帯で攻めてきたということでソニーの本気度が伺えます。モニターは音を確認するものであり、音楽は様々な音の要素が混ざりあったものです。ネットワーク次第ですが、完成度の高いBAマルチの真骨頂は音の分離ではなく音の融合を感じられるということです。そういった意味でモニターに最適だと考えているのです。M9、とても気になります。

今回も音響エンジニアの意見を取り入れつつ開発が進められたようですが、個人的にはM7をベースにまたSTシリーズとして「IER-M8ST」などを作ってくれないかな、と考えています。しかし今回はM7でも8万円前後、M9では13万円前後という万人受けする価格の製品ではないので、半分プロフェッショナルユースみたいなところもあるということでしょうか。

また、あえて上で触れませんでしたが気になるのがZ1Rの国内販売価格です。
まだ国内発表されていないIER-Z1Rですが、価格はMDR-Z1Rと同じ20万円前後になるのでは、と踏んでいます。(海外発表価格は現地の税が加算されている価格、また国内価格は海外発表価格より安くなる傾向があるため。)M9が13万円程度と結構強気な国内価格だったことが気になりますけど、SONYとしてオーバーヘッドよりインナーイヤーの方が高価ということにはしにくいのでは…?

今年はZ1にウォークマンA50の発表、ハイエンドインナーイヤーの刷新とオーディオの存在感も強いIFA2018でした。なんにせよ、国内販売がまだのIER-Z1RとDMP-Z1のお披露目が楽しみですね。

LIL

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